以前ANZA記事で紹介したドローンを用いる病院向けの輸血用血液製剤の物流サービスを提供している米国発のスタートアップ企業Zipline(ジップライン)。新型コロナウイルスの影響により、非接触で医療品を輸送できるとして注目されています。
世界初のドローン医療スタートアップZipline
Ziplineはキガリ郊外に2つの空港/医薬品配送センターを持ち、輸血用血液やワクチン、医療器材などを保管し、ドローンを通じて約20の病院に届けています。1つの空港で直径160kmをカバーできるため、2つでルワンダほぼ全土をカバーすることができます。自立飛行型のドローンで時速100kmで移動し、顧客である医療機関の上空からパラシュートで投下するシステムを構築しています。
またZiplineは機体の設計から製造まで全て自社で手掛け、機体は耐久性と保温性に優れた発泡スチロールでできています。そのため雨風にも耐えることができ、全幅3メートルの大きさながら重さは21キログラムと軽いです。
2018年6月にはシリーズC資金調達ラウンドを実施し、豊田通商も出資参画、業務提携を締結しました。この資金調達で時価総額が10億米ドルを超え、ユニコーン企業となり話題となりました。2019年4月にはガーナ・アクラでも事業を開始し、4つの空港/医薬品配送センターを持っています。同社は、規制が比較的緩く、社会課題も多い新興国でプロダクトの開発・実証実験を行い、先進国への展開を行うリバースイノベーションと呼ばれるビジネスモデルの代名詞となっています。もともとアメリカ発の会社ですが、規制等の関係でアメリカでの事業拡大が進まず、ルワンダでの事業を開始したという経緯があります。
新型コロナウイルスの検査サンプルの運搬をアメリカ、アフリカで開始
新型コロナウイルスのパンデミックを受けて本社があるアメリカではドローン飛行の規制が緩和されたことにより、マスクなどの個人用保護具の配送を開始しました。またアフリカの一部地域では、同社のドローンを利用して、検査サンプルや医療物資を運んでいます。
アフリカでは、ロックダウンによって陸上輸送ができなくなったことで、医療施設からの需要が約4倍まであがりました。
ガーナでは地方の医療施設からZiplineの配送センターに送るテストが何度か行われ、4月17日には計4回のフライトで、51の検査サンプルを運搬しました。
また同社は検査サンプルだけではなく、検査キットやマスクなどの防護用品、ワクチンなども運んでいます。
同様のサービスをルワンダでも展開しています。
これにより医療従事者が時間とお金をかけることなく、医療物資を受け取ったり、検査サンプルを届けることが可能になりました。
また同社のドローンは避妊具の運搬にも活用されています。
ガーナ政府の要請により、支援が届きにくい西部地域に避妊具を届けており、望まない妊娠や中絶の抑制にも貢献しています。
リバースイノベーションの代名詞となっているZiplineですが、多くの投資が集まる一方で、本当に先進国で普及させて収益化できるのか?という懐疑的な見方もありました。しかしこの記事にある通り、新型コロナウイルスの影響でアメリカをはじめとする先進国でのドローンの飛行に関する規制が緩和され、展開が当初想定していたよりも早まる兆しがあります。
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《企業情報》
Zipline(ジップライン)
■設立年:2011年8月
■本社所在地:アメリカ合衆国カリフォルニア州
■資本金:2.3億米ドル
■企業URL:https://flyzipline.com/
■事業概要:ドローンを用いる病院向けの輸血用血液製剤の物流サービス
《参照》
2020年7月20日閲覧
『Africa’s Drone Medical Delivery Service Saves Lives in Lockdown』
『アフリカではいま、ドローンが新型コロナウイルスの検査サンプルを運んでいる』
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