日本語で解説 「2020年のアフリカスタートアップを振り返る5つの視点」by Disrupt Africa

2021.02.02
ANZA編集部
日本語で解説 「2020年のアフリカスタートアップを振り返る5つの視点」by Disrupt Africa


アフリカは近年、テック分野のスタートアップが急成長を遂げています。特に南アフリカ、ナイジェリア、ケニアには多くの注目が集まっています。

そんなアフリカスタートアップの動きについて、アフリカのベンチャー企業情報を多く取り扱うメディア Disrupt Africaが ”The top 5 pan-African startup sector developments of 2020”と題し、2020年のアフリカスタートアップ業界を振り返る上での 5つの視点をまとめています。今回は日本語で本記事を要約します。

「アフリカ各国のスタートアップ調達額(2019年)」(単位:100万米ドル)
参考:Partech

1.   Paystackの買収

世界でも決済分野をリードするStripe(ストライプ)が、ナイジェリアのフィンテック企業、Paystack(ペイスタック)を買収しました。詳細な買収額は非公表なものの2億米ドル以上と言われており、アフリカスタートアップ史にとっても大きな出来事となりました。Stripeは2018年のPaystackの800万米ドルの資金調達時から資本参画しており、その当時からすでに同社に注目していたと言えます。

Stripeの決済ソフトウェアは、Amazon、Google、Shopify、Zoomなどを通し、世界中に利用者がおり、Paystackの買収は、Stripeのアフリカでの顧客拡大をさらに勢いづけることになるでしょう。現在、Paystackは南アフリカのパイロット事業を足掛かりに、本社のあるナイジェリアのラゴスからアフリカ全体へと展開しようとしています。

2.   アフリカのアーリーステージファンドの年

これまでアーリーステージでの資金調達の低さが問題視されてきましたが、2020年には明るい方向へと向かっています。その要因には、Sherpa VenturesやAcuity、Furture Africa fundといったプレシード、シードステージへの投資を対象としているファンドが立ち上がったことが挙げられます。Future Africa fundはAndelaのIyinoluwaAboyejiとFlutterwaveが立ち上げたファンドとしても知られています。

またシードファンドのKepple Africa Venturesも忘れてはならない存在です。同社は2020年だけでも36のスタートアップに投資を行なっており、もっともアフリカで投資を行なったベンチャーキャピタルといえるでしょう。

このようにエンジェル投資の成長と、エンジェル投資家のアフリカネットワークの拡大が合間って、アフリカのアーリーステージでの資金調達において過去最高の環境だったといえます。

3.   スタートアップによるスタートアップの買収

先に述べたように、スタートアップの資金調達については増加している傾向にありましたが、Paystackのようなスタートアップの買収はまだまだ少ないのが現状です。

ただM&Aは、アフリカのスタートアップでも通常、自社製品強化のために行われています。2020年には、Paga、Farmcrowdy、Snapplify、Autochek、AfricaSokoniといったスタートアップが同じスタートアップ企業を買収しており、2019年から徐々にその数は増加しています。

4. 新型コロナウイルスに対応したアフリカテック産業

昨年新型コロナウイルスのパンデミックの発生は、アフリカスタートアップにとっても悪影響が懸念されていました。資金調達については、深刻な影響が出るとされていたため、若い起業家たちは将来の存続に不安を募らせていました。実際、SafeBoda、iROKO、Yocoなど一部のスタートアップは深刻な影響を受けました。それでもアフリカ内ではコロナ禍に対応した技術力を見せ、乗り切ることができました。

コロナ禍に立ち向かうベンチャー企業が、ビジネスを通し解決策を提示できたのは、彼らを支援する新しいファンドやイニシアティブが生まれたからでした。特にed-techやe-healthの一部の分野では急成長もみられました。

コロナ禍でのスタートアップの悲惨な予測は、2020年は資金調達の支えがあったため、今の段階では現実とはなってはいません。

5.   スタートアップに関する法整備の広がり

近頃、スタートアップの成功へ向けて法整備を進めるアフリカの国が増えてきています。世界でみると、2012年のイタリアでの法整備が初めでしたが、アフリカでもチュニジアとセネガルでもっとも早く法整備がなされました。さらに今後、マリやガーナ、コートジボワール、コンゴ民主共和国、ルワンダなど多くの国でも進んでいくとみられています。

また9月ケニアでは、「2020年スタートアップ法案(The Startup Bill, 2020)」に掲載されてから初めて、スタートアップに関する法整備を採用する過程にあることが明らかになりました。同国は自国特有の法律を発表したスタートアップエコシステム「Big 5*」の最初の国ですが、その動きは南アフリカでも複数確認されています。

*ナイジェリア、ケニア、エジプト、南アフリカ、ルワンダ


関連記事:「日本語で解説『2021年、注目すべきアフリカスタートアップ12選』by Disrupt Africa」


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《参照》
2021年2月2日閲覧
The top 5 pan-African startup sector developments of 2020
The Partech Africa Report is here, and it’s the best yet with US$2.02 B raised!

 

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