「象牙の奇跡」や「西アフリカの優等生」として知られる国、コートジボワール共和国(以下、コートジボワール)。そんなコートジボワールがどんな国なのか、紹介していきます。
コートジボワールの基本情報
以下、コートジボワール共和国の基本情報をまとめました。
面積:322,436平方キロメートル(日本の約0.9倍)
人口:2,507万人(2018年)
人口増加率:2.6%(2018年)
首都:ヤムスクロ(経済的な最大都市はアビジャン)
民族:東南部を中心とするアカン系(バウレ,アニ等),西南部を中心とするクル系(ベテ,ゲレ,ティダ等),北東部を中心とするボルタ系(セヌフォ,クランゴ,ロビ等),北西部を中心とするマンデ系(マレンケ,ダン等)など
宗教:キリスト教39.1%,イスラム教33.7%,伝統宗教4.4%,その他の宗教0.6%,無宗教22.2%
通貨:CFAフラン(XOF)
※1円=5.24CFAフラン
言語:フランス語(公用語),各民族語
続いて経済面。
名目GDP:430億米ドル(2018年)
一人当たりGDP:1,610米ドル(2018年)
GDP成長率:7.5%(2018年)
コートジボワールの経済概況
コートジボワールは、UEMOA(西アフリカ経済通貨同盟)に所属する8か国のGDP合計のうち、約3 分の1と近隣諸国に比べて経済規模が大きい国となっています。
主な輸出産品は、カカオ豆、原油、石油製品です。
コートジボワールでは、この3つが主要な輸出品目となっていますが、国内経済はこれら輸出産品の国際価格に大きく依存しています。
1960〜70年代にはカカオなどの農業品輸出により、年8%の高度経済成長率を実現し、「象牙の奇跡」と呼ばれました。
しかし、人口の50%は農業に従事しており、農産品の輸出が多いため、天候によって経済が左右されることがあります。実際、1980年代にカカオとコーヒー豆の国際価格が下落(カカオ:約25%マイナス、コーヒー豆:約30%マイナス)とともに財政破綻状態に陥りました。
90年代後半から2010年代まで不安定な政情、近年は7-10%の経済成長を継続する
独立以来カリスマ的な統治を行っていたウフェ=ボワニ氏の逝去を契機に政治的混乱がおこり、1999年にはクーデター、2002年には内戦が勃発しました。その結果、構造調整の遅れによるIMFの融資停止やガバナンスの問題などから援助停止され、一時期経済が悪化しました。
2007年にIMFや世銀の援助が再開し、2009年3月には拡大重債務貧困国イニシアチブの適用が決定、2012年6月、同イニシアチブが完了し、対外債務が持続可能な水準に回復したため、大幅な債務救済(多角間債務救済イニシアチブと合わせ総額 44 億ユーロ)が承認されました。
また2010年の大統領選挙でもワタラ氏が当選するのをきっかけに再び内戦が起こり、経済悪化を招きました。2012年には終結し、新政府は「2012-2015年国家開発計画(PND)」を策定し、インフラ整備等による復興計画に取り組んだ結果、7〜10%と高い経済成長を継続しています。2018年には西アフリカ最大、世界第5位の経済成長率(7.5%)を誇っています。
外資企業による投資が活発
コートジボワールでは、近年海外からの直接投資が増加しています。コートジボワール投資促進センター(CEPICI)の統計によると、2017年の対コートジボワール直接投資件数は前年比2件増の227件、投資額は30.6%減の4,662億6,800万CFAフラン(約925億円)となりました。
要因としては、
・為替リスクに左右されないこと
・安定した電力供給やインフラ整備などの優位性が高いこと
・欧州からのアクセスやビジネス環境が整っていること
が挙げられます。
使用通貨であるCFAフランは、西アフリカ諸国中央銀行が発行する共同通貨であり、使用国はコートジボワール、セネガル、ギニアビサウ、マリ、トーゴ、ベナン、ブルキナファソ、ニジェールとなっています。CFAフランは、ユーロと連動されているため、為替リスクに左右されない点は大きな魅力です。
政府は2020年までに新興国入りを目指す第2回国家開発計画の策定しており、大規模なインフラ投資を行っています。アバタ火力発電やアビジャン都市鉄道の建設などを政府系金融機関からフランス企業や中国企業に受注し、インフラ整備を行いました。
結果として、コートジボワールは、総発電量の10%程度相当を近隣国であるガーナ、シエラレオネ、リベリア、マリ、ブルキナファソへ輸出できるほど他の西アフリカ諸国に比べて電力供給は安定しています。安価な価格で供給することが可能となり、西アフリカ地域における経済統合の進展を見据えた企業の動きは活発化しています。
また投資が活発している中で、食品やサービス分野などで外資企業による大型投資が目立っています。食品分野では、ユーロファン(レバノン)、デニア(モロッコ)、カーギル(米国)、バリー・カレボー(スイス)が、それぞれカカオやカシューナッツ加工工場の新規建設や増設を行っており、T&Tグループ(ベトナム)は、生産能力計10万トンのカシューナッツ加工工場の建設を計画しています。
サービス分野では、ラディソンホテル・グループ(米国)がアビジャンをはじめサンペドロ、アッシニー、グランドバッサムにチェーン展開を計画しているほか、レジデンスホテル開発に着手中です。
現在コートジボワールに進出している日本企業はキャノン、NECなど数社ですが、今後進出先として注目されること間違いありません。
かつてはコーヒーやカカオに頼ったモノカルチャー経済の構造のため財政が安定せず、政治的混乱も続いたコートジボワールですが、2010年代に入り、新たな開発政策のもと安定的な経済成長が続いています。西アフリカのフランス語圏諸国の中心と見て、多くのグローバル企業が近年進出をしています。
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《参照》
2020年8月21日閲覧
『コートジボワール共和国 基礎データ』
『コートジボワール』
『コートジボワール(JETRO)』
『コートジボワール・インフラマップ』
『資源富裕国の工業化政策とオランダ病:コートジボワールの事例 (1970-1989) を踏まえて』
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