加速するアフリカでの森林破壊

2022/10/04

世界で広がる森林破壊

 世界中の何百万人もの人々が、食料安全保障と生計を森林に依存している。地球上の大部分の陸上生物種の生息地であり、また気候変動の影響の緩和に役立つ森林を保護することは、自然資源の保全への鍵ともなる。世界森林白書によると、森林には6万種の樹木があり、両生類の80%、鳥類の75%、哺乳類の68%が生息している。

 しかしながら、1990年以降、4億2千万ヘクタールの森林が失われている。2010年から2020年において、森林が純減する速度が最も高い地域はアフリカの年間390万ヘクタールであり、次いで南アメリカが年間260万ヘクタールである。

 2010年から2020年までの年間平均で森林面積が純減した世界上位10か国は、ブラジル、コンゴ民主共和国、インドネシア、アンゴラ、タンザニア連合共和国、パラグアイ、ミャンマー、カンボジア、ボリビア、モザンビークであり、多くのアフリカ諸国が入っている。

アフリカにおける森林破壊の現状

 「アフリカの問題」と聞くと、貧困、難民、紛争、HIV/AIDS・感染病、食糧問題などを思い浮かべるだろうが、他の深刻な問題として、環境問題がある。 アフリカ大陸は多様な動植物に恵まれており、自然資源が大量に存在している地域であるが、同時に環境問題も抱えている。

 例えば、アフリカのコンゴ盆地の熱帯雨林は広大で、世界で 2 番目に大きく、生物多様性があり、人間の手が入っていない、炭素が豊富な森林がかつては広がっていた生態系システムで、今でも、生態系を守る最後の砦の1つである。

 また、その森林は、農業、鉱業、伐採、および気候変動などにより、森林の端や内部を削り取られて、間引きされ、最も脅威にさらされている森林の 1 つとなっている。

森林破壊が進んでいる理由と背景

 では、なぜ現在、森林が減少し続けているのか、それには、様々な要因がある。最も重要な要因は、自給自足の小さな農業や自然火災ではなく、土地を開拓するために焼畑/休耕、鉱山開発などの産業活動となっている。

 まずは、商業利用のための伐木がある。これは、木材またはパルプとして販売するために木を切ることである。木材は家屋や家具などの建築に使用され、パルプは紙や紙製品の製造に使用される。また、この伐木は、製品を包装するための木材チップを製造などの商業利用するためだけでなく、石油、ガス。鉱山の採掘ができるようにするためにも行われる。

 次にアフリカ特有の問題である木炭の生産に起因するものである。木炭は、多くのアフリカ諸国の都市住民にとって主要な調理用燃料となっている。都市化と人口増加により、木炭の需要が増加しており、伐採の要因となっている。

 木炭生産の過程では、炭素排出が多く、木材資源の無駄が多い。 特にサハラ以南のアフリカでは多くの人々が木炭に依存している。

代替の再生可能エネルギー源の可能性が取りざされているが、これにはアフリカ諸国政府による支援政策が必要である。

3つ目に農業に起因する森林破壊で、大豆やパーム油などの大規模なプランテーション栽培によるものだ。パーム油のプランテーションのために多くの森林が伐採されている。

 パーム油は最も一般的に生産される植物油であり、スーパーマーケットの全製品の半分に含まれている。安価で用途が広く、食品や口紅やシャンプーなどの身の回り品に使用されている。また大豆も大規模にブラジルなどで伐採を伴って、農地を拡大している。

森林保護のための最先端技術の応用

 上記のような伐採は違法に実施しているものも多く、政府も様々な規制や罰則を設けている。しかしながら、いくら規制を設け、罰則を強化しても、生活のため、一攫千金を狙うために、伐採業者による不法伐採は止まっていない。

 その原因のひとつは、地域が余りに広大なため監視の目が行き届かないことです。これに対し各国政府では人工衛星から撮影した画像を利用して森林伐採の監視を進められている。具体的には、人工衛星や高空を飛ぶ飛行機から陸上・海洋・大気などのさまざまな現象を探るリモートセンシングや機械学習という先端技術を使って、森林伐採の検知や予測を行うことが各国政府や研究機関で試みられている。

アフリカにおけるリモートセンシング技術の適用

 例えば、新たな研究では、地球の観測データを使用して、遠く離れた雲に覆われたアフリカの熱帯雨林の炭素損失アラートを警告して、地上での行動を強化し、アフリカ諸国の国々を支援できる可能性を示した。

 このアラートにより、現場で取り締まりにあたるチームは森林破壊のさまざまな要因を特定し、それがいつ発生したかを特定することができ、現場での取り締まりに役立て、森林保護活動により集中できるようなった。

 アラートにより、2020年に中央アフリカ共和国で行われた調査では、年間の総炭素損失の 4 分の3以上が 1 月から 3 月の間に発生したことが判明している。

 このように、日本でも盛んに使われているリモートセンシング技術がアフリカの森林伐採防止のために役に立っている。

出典:

https://www.fao.org/japan/news/detail/en/c/1300626/
https://climate.esa.int/en/news-events/remote-sensing-reveals-carbon-losses-in-africas-rainforests/
https://www.nature.com/articles/s41586-021-03629-6