アフリカのテキスタイルなどを使ったカラフルでユニークなファッションが世界的に注目を集めています。
背景には、中間層の増加により、アフリカでファッションを楽しむ人が増えたこと、そのアフリカのファッション市場に海外ブランドが進出しアフリカンファッションが世界に発信されたことで、アフリカ文化の再発見が成されたことなどが挙げられます。今回は、注目のアフリカンファッションについて詳しく見ていきましょう。
アフリカファッション市場の規模と特徴
アフリカではファストファッション、繊維工業分野が農業に次いで2番目の規模に拡大しています。2020年の市場規模は約310億ドルに上り、その市場は年々拡大中です。
アフリカにアパレルを進出させるメリットとして、人件費の安さ、アフリカのアパレル企業がヨーロッパなどに参入する際、関税がアジアに比べて安くなることなどが挙げられます。例えばエチオピアは人件費が安くヨーロッパとタイムゾーンが同じであり、港へのアクセスも良好なことから、既にH&M等の企業が進出を始めています。
アフリカ内部でもファッション産業が多くの雇用を産むこと、産業の多様性を確保できることなどからこの盛り上がりを歓迎しています。
一方で先進国からアフリカに大量の古着が寄付されていることが重大な問題になっているようです。寄付された衣料を格安で手に入れることができるため、アフリカ内部の繊維産業が事実上一掃されるという結果に繋がっています。更に状態が悪い寄附繊維はそのまま埋め立てられることになり、経済と環境に多大な悪影響を及ぼすことになります。
持続可能な消費に注目が集まる中、国連主導での改革が行われようとしています。アフリカの市場は多くの可能性を秘めていますが、持続可能性という観点を重視した開発が必要です。
開拓が進むアフリカファッション市場
アフリカで経済が急速に発展しているのは周知の事実ですが、グラフからも分かるようにここ10年で中間層の人口が著しく増加しています。
アフリカ開発銀行は、1日に4〜20ドルの収入がある層を中間層として定義しており、この割合の増加に伴い様々な分野での消費が活発になっています。このような状況の中、急成長を遂げるアフリカ市場をターゲットに世界中のブランドが進出するなどファッション分野も目覚ましい発展を遂げています。
富裕層に向けた高級ブランドはもちろん、H&MやZARAなどのファストファッションが市場を開拓。台頭する中間層は社会的地位を示すために服や化粧品にお金をかける傾向があるとも言われており、ファッション業界に新たなインパクトを与えているようです。
インフルエンサーが発信するアフリカンファッション
アフリカのファッションはアースカラーや原色を大胆に組み合わせたテキスタイルが特徴です。燕は「幸福のシンボル」、魚は「変化のタイミング」など伝統的に意味の込められているモチーフも魅力的で、鮮やかでありつつ歴史を感じさせるデザインは世界中の人々の心を掴んでいます。
最近ではその特徴的なデザインを、世界的なインフルエンサーがファッションに取り入れる様子が頻繁に見られます。
セネガルのファッションブランド「TONGORO(トンゴロ)」は、ビヨンセが自身のミュージックビデオ内で着用したことで注目を集めました。
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大手ファッションブランドもアフリカに熱視線を送っています。「DIOR(ディオール)」の2020年のコレクションは「アフリカへの愛」。アフリカンファッションを融合させたトレンドから目が離せません。
ECを活用した通販市場が発展
アフリカの人々は世界中の他の地域の人々と同様にファッションに関心を寄せていますが、商品自体へのアクセスは他地域に劣るものがありました。そんな中アフリカでは、Eコマース(電子取引)の市場が急拡大しています。アフリカEC市場最大のセグメントはファッションであり、2020年〜2025年の年平均成長率は15.5%になると予想されています。
代表的なサービスは、アフリカEC業界最大手でナイジェリア発の「Jumia(ジュミア)」です。Jumiaはナイジェリアやケニアを始めとするアフリカの11カ国で独自の決済サービス
「JumiaPay(ジュミアペイ)」を通販事業と合わせて展開し顧客を集めています。Jumia Payは公共料金、通話料金などの決済も請け負っており、最も注目されているECサービスの一つです。
アフリカでは国ごとに企業競争があり、現在南アフリカで覇権を握っているのは「Takealot(テイクアロット)」という企業です。Takealotの特徴は配送網の整備に力を入れている点にあります。都市部に巨大な倉庫を構え全国93箇所に配送拠点を置いている他、自社で配送員を確保し、15,000人以上のドライバーが活躍しているそうです。都市部では注文した商品が翌日に届くこともあるようで、配送網を強化した企業努力が伺えます。
新型コロナウイルスの影響やアフリカの主要経済大国間の距離が離れてることもあり、通販の利便性が一気に高まる中、同通販サービスの利用者数は2020年の1年間で680万人に登りました。
Jumiaの他に、Woolworthes(ウォールワース)、ケニアに拠点を持ち医療用品に特化したMYDAWAなども利用者を増やしています。最も多くの国が参加しているサービスはAfrikreaです。Afrikreaはアフリカ内のおよそ40カ国のデザイナーが出品することができ、宝石や絵画、衣料品をアメリカやヨーロッパにも販売しています。
様々な企業がEC業界に参入しつつありますが、共通の課題としてアフリカ全土を縦断するサービスが未発達な点が指摘されています。
南アフリカのEコマースであるLuminance(ルミナンス)、ナイジェリアのKONGA(コンガ)等は国内のみでの使用に留まり、アフリカ全体としての市場開拓が進んでいないようです。
電子決済がアフリカ全土共通になることで更なる市場の活発化が見込まれ、この分野の可能性が近年急速に注目を集めています。流通コストの高さや利用者との信頼関係などの問題点も改善されていくにつれ、今後も市場開拓が進んでいくと考えられます。
特大の可能性を秘めたアフリカンファッション
このようにアフリカでは、中間層の増加やECの発展と共に気軽にファッションを楽しむ風潮が高まっており、市場の更なる発展が見込まれます。
アフリカ内部でも様々に異なる文化と世界のトレンドが、インターネットの普及と共にどのように影響し合い発信されていくか、今後のアフリカンファッションに注目です。
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ANZAは日本企業のアフリカ進出を支援するAAICが運営しております。AAICのこれまでのアフリカでのプロジェクトはこちらからご覧いただけます。
出典:
AAIC – 南アフリカECの急成長に見る、海外企業のチャンスは?!
BoF – Africa’s $20 Billion E-Commerce Opportunity
Elle – モード業界が熱視線を送る“アフリカ”。
Fashion HR – カラフルで大胆なアフリカン・ファッションの魅力
Infomineo – Fast Fashion in Africa
NRI – アフリカビジネスの誤解と実態
TASCLAP – 独特の色使いが魅力的。アフリカンテキスタイルに注目
UN – World Population Prospects 2022
WWD – 成長続けるアフリカのファッションは世界に通用するのか現地で感じた可能性
WWD – マドンナも「ディオール」も熱視線 アフリカのファッションがアツい
アフリカ開発銀行 – アフリカ経済の概況
日本経済新聞 – アフリカ、ネット通販急拡大 通信網整備や人口増で
日本貿易振興機構 – 「サブサハラ・アフリカ主要国の消費市場」~要旨~
日本貿易振興機構 – アフリカのEコマース市場
日本貿易振興機構 – 南アフリカ市場と市場開拓
マネクリ – アフリカ大陸のeコマース最大手「ジュミア・テクノロジーズ」独自の強み
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