前回の記事では、アフリカのファッショニスタ達が、ネットやアプリを駆使して、様々な方法でファッション情報をチェックしている状況をご紹介しました。
【アフリカファッションに注目！】ネット・アプリの利用者急増、インフルエンサーのおしゃれ情報もしっかりチェック
今回は、アフリカでのFashion eCommerceの最新の状況をご紹介したいと思います。
アフリカでのFashion eCommerceの拡大
インターネット、ソーシャルメディア利用者の急増により、アフリカのファッション業界においてもインターネットという観点からファッションを考える、Fashion eCommerceというビジネスが注目されてきています。Fashion eCommerceとは、オンラインのプラットフォームを使った、ファッションやアパレル商品のオンライン上での売買取引のことを指します。アフリカで起こっているインターネット普及率の増加やデジタル技術の進歩、コロナウイルス流行により、多くのファッション企業がデジタル化を進め、洋服をオンラインで売り、オンラインで購入するユーザーが増えています。
現在、アフリカ全土のFashion eCommerce の予想利益は198億ドルとされています。これは、世界中で高まっているアフリカ発のファッションデザイナー商品の需要の急増と共に、アフリカのマーケットが注目されていることを示しています。アフリカで服飾やファッションに携わっている人々にとって、このFashion eCommerceの興りは、アフリカのファッション産業や文化を世界的に広めるチャンスにもなります。
アフリカでの洋服やアクセサリーのオンライン販売が注目されるきっかけとなったのは、ヨーロッパとアメリカのアフリカ系移民からの注文の増加、有名人の間でのアフリカンファッションの人気、アフリカ人以外の消費者の間でアンカラ・ガウンやアフリカン・プリント（※）などのドレスの人気…などによるとされています。これらの理由により、アフリカを拠点とするFashion eCommerce のプラットフォームも急激に成長する様になりました。
※アフリカンプリントについては過去の記事でも紹介しています。
Fashion eCommerceのプラットフォーム
それでは実際にアフリカのファッショニスタたちによく利用されている、オンラインのファッションプラットフォームをいくつか紹介していきます。
Industrie Africa
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Industrie Africaはインド出身のタンザニア人であるNisha Kanabarによって2018年に設立されました。多様性、デジタル化、ストーリーテリングに焦点を当て、母国の大陸の現代的でラグジュアリーなデザイナー市場に注目したい、という願望をもとに設立されたことが特徴です。Industrie Africaはアフリカを拠点としているファッションデザイナーやブランドを集め、彼らが商品を販売できるプラットフォームとして利用されています。オンライン上でのユニークファッションの展示と、アフリカの現代的なファッションの発信の場所として、ユーザーだけでなく国際的な批評家からも賞賛を得ています。
Afrikrea.com
Afrikrea.comは、コートジボワールを拠点にしているオンラインプラットフォームです。アフリカと世界の橋渡し、というポリシーのもと、マリ共和国とギニア共和国出身のMoulaye Taboure, Kadry Diallo, Luc B. によって2016年に設立されました。アフリカをはじめ世界中から何千人ものデザイナーや売り手を集めて、彼らが簡単にファッションビジネスを始め、管理できるようなプラットフォームを提供しています。ユーザーはアフリカのファッションアイテムを検索、購入し、ネットショッピングを楽しむ事ができます。設立者であるMoulayeは「世界中のどこからでも、アフリカからインスピレーションを受けた商品を販売し購入ができる、という最高の経験」を提供することが目標だと語っています。アフリカのファッション、アクセサリーデザイナーや職人を支援し、4万点以上以上の衣服、アクセサリーを提供している事が特徴とされています。
●ウェブサイト
Afrikrea – Shop and Sell African Fashion, Art and handicraft – Afrikrea
※同社もInstagramを活用していますが、情報トレンドや在庫状況に合わせて定期的にアップ・削除しているため、ここではウェブサイトのみを掲載します。
Fashion eCommerceによるファッションのグローバル化
もちろんオンライン販売の増加とともに、オンラインショッピングをするインターネットユーザーも増えました。アフリカ全土でのFashion eCommerceの拡大とともに、ネットで買い物をするという考えが主流になり、オンラインで洋服やアクセサリーの商品を見つけること、欲しいものを全て家に届けてもらうことが身近な行為となりました。実際、2023年6月の時点で、南アフリカの消費者の間で最も人気のあるオンライン購入品のカテゴリーは45%が衣類、次に35%が靴、とファッション関連で大半を占めました。アフリカのファッショニスタの間で、オンラインで服を購入しファッションを楽しむ事が主流になっている事がわかります。
また、アフリカ内の需要だけではなく、ヨーロッパやアメリカからオンラインで購入する消費者が少なくないことも事実です。そして逆に、他の国からも最新のファッションアイテムを取り入れることができることもオンラインショッピングの利点です。例えば、ASOSというイギリスのファッションプラットフォームでは、850以上のブランドと独自ブランドの衣類やアクセサリーを196カ国から購入することができます。様々なブランドの洋服が購入できることに加えて、様々なサイズ展開により誰でもファッションを楽しめることが特徴的です。
このように、アフリカのファッショニスタたちはソーシャルメディアを利用して最新のファッション情報を集め、Fashion eCommerceの広がりとともに浸透した多様なオンラインプラットフォームで洋服やアクセサリーを購入しています。
格差も残る現実
しかし、このようにインターネットの普及率と利用率が増加している国・地域がある一方で、携帯電話を持っていない、インターネットにアクセスができない人々、国、地域があることも事実です。そして国と地域の格差だけでなく、教育や文化のなどの面での差別によって、例えば男女間にインターネット普及率の差が生じている地域も存在する、という状況も見られます。さらに、そもそも洋服に十分にコストをかけることのできない人々の中には、西欧諸国やアメリカから寄付された古着を可能な限り低価格で購入し衣類を補っている人もいます。
アフリカでは（アフリカに限らずかもしれませんが）、オンラインプラットフォームを駆使し、ファッションを楽しんでいる人々がいる反面、テクノロジー格差がまだまだ存在していることも念頭において頂ければと思います。
参照:
Most popular categories for online purchases in South Africa as of June 2023
https://www.statista.com/forecasts/826547/most-popular-categories-for-online-purchases-in-south-africa
Internet usage in Africa – statistics and facts
https://www.statista.com/topics/9813/internet-usage-in-africa/#topicOverview
Social media in Africa – statistics and facts
https://www.statista.com/topics/9922/social-media-in-africa/#topicOverview
A new generation of e-commerce retailers want to globalize Africfan fashion
https://www.voguebusiness.com/consumers/african-fashion-multi-brand-retailers-raised-local-luxury-jendaya-industrie-africa-folklore
E-commerce powers Africa’s rapidly expanding fashion sector
https://african.business/2021/10/trade-investment/e-commerce-powers-africas-rapidly-expanding-fashion-sector
Most popular categories for online purchases in South Africa as of June 2023
https://www.statista.com/forecasts/826547/most-popular-categories-for-online-purchases-in-south-africa
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