世界銀行レポート「RISE2020」から今後のアフリカのエネルギー政策を読み解く

2021/02/02


持続可能なエネルギーに関する発展で注目を集めるアフリカ


昨年、世界銀行からの最新のレポートRISE2020(Regulatory Indicators for Sustainable energy 2020)が公開されました。RISE2020では、持続可能なエネルギーに関する、各国の政策やフレームワークを4つの重要分野(電気へのアクセス、クリーンな調理へのアクセス、エネルギー効率、再生可能エネルギー)から評価をしています。

今回はその4つの重要分野の評価について、サブサハラ以南アフリカ地域(以後、「アフリカ」)を中心に紹介していきます。

電気へのアクセス


電気へのアクセスは、世界的に見て年々改善されている傾向にあります。しかし、政策が整っていない国を中心に、依然として世界の半数以上の人々が安定した電気にアクセスできていない状況にあります。

2017年以来、電気のアクセスが最も悪い国の中で、エチオピア、ナイジェリア、タンザニアの3カ国は最も電気へのアクセスが改善されています。内、エチオピアとナイジェリアでは、世界銀行とESMAP(The Energy Sector Management Assistance Program)からの資金・技術サポートを受け、電化プロジェクトを行っています。そういった国際機関からのサポートを受けた電化プロジェクトにより、ミニグリッドの普及、公共事業の透明化、消費者にあった価格設定が可能になったようです。

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クリーンな調理


今日、世界の約30億人が木炭や薪、糞を主な家庭用燃料として利用しています。しかし、それらを燃焼する際には有毒ガスが排出され、年間400万人近くが死亡する要因にもなっています。さらに、健康問題に加え、環境問題や女性の長い家事時間の要因にもなっています。アフリカ(56カ国中43カ国)では全人口の83%がこれらの燃料を使用しているとされています。

そのため、クリーンな調理(環境負荷の低い燃料を使った調理)の重要性が近年唱えられています。

RISEのレポートによるとアフリカはクリーンな調理分野において、改善が最も遅れている地域です。RISEが定めるクリーンな調理に関するスコアでは、2010年から微増はしているものの、元々の低水準を考えると十分な改善があったわけではありません。一方、2010年では最もスコアの低い地域だったラテンアメリカ・カリブ海地域では、ここ10年で大きな進歩をみせ、現在はアフリカを抜いています。

また元々、クリーンな調理の普及と所得水準には大きな関係性があると思われてきましたが、アフリカのエチオピアやウガンダといった低所得国でも、クリーンな調理に対する強固な政策を持つ国があります。

本分野において遅れを取るアフリカですが、国単位で見てみると強固な政策を有する国もあるようです。

再生可能エネルギー


世界的に2010年から2017年まで、再生可能エネルギーに関する政策が大きく発展してきましたが、2017年から2019年にかけその発展が鈍化しつつあります。しかし世界全体での発展が鈍化する一方、近年、アフリカとラテンアメリカ・カリブ海地域では大きな発展が見られています。

アフリカの中でも、大きな進歩が見られるのがチャドとタンザニアです。本分野に関してRISEが示すスコアでは、2017年から2019年の間でチャドが7から77、タンザニアが30から60までスコアを改善しています(低所得国の平均スコアが34、高所得が73)。

チャドがこの分野でスコアを伸ばせた理由には、2018年に政府が設定した、再生可能エネルギーの行動計画にあります。この計画では、再生可能エネルギーの発電と送電計画を統合する措置と民間分野の発電に関する所有権に関する法的枠組みが含まれています。さらに2020年の金融法では、再生可能エネルギーの発電と促進に関わる機器の輸入税及び付加価値税が免除されることになりました。

2012年まで発電を100%石油に頼っていたチャドですが、2016年から風力発電が徐々に発展し、2019年では国内の発電方法別の比率が、石油94.8%、風力5.1%、太陽光0.1%と再生可能エネルギーの割合が増加しています。

エネルギー効率


エネルギー効率の分野も、再生エネルギー同様に2017年から2019年で世界的にその発展が鈍化しています。しかし2010年からの10年間で、全ての地域、所得レベルで本分野に関する政策や規制枠組みの採用は増加しています。

また再生エネルギー分野同様、チャドでは発電、送電、配電ネットワークのプロセスにおいて各電力会社が一定のエネルギー効率を下回った場合にペナルティーを課すことでエネルギー効率分野で最も発展しました。

このように、アフリカの持続可能なエネルギー政策の改善について、世界銀行からも一定の評価を受けています。もちろんその要因には、元々アフリカがこの分野の政策整備が十分でなかったこともあります。それは、依然として他の地域との水準と比較して低いということも言えます。

しかし、チャドのようにいったん政策整備が進めば大きな変化が起きる事例も出てきています。電力をはじめとしたエネルギーへのアクセスは民間企業が進出を検討する際、ビジネス環境を測る上での重要な指標の1つとなります。まだまだ課題の多いアフリカですが、徐々に改善している事例も出てきていることが本レポートから読み取れます。

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《参照》
2021年2月2日閲覧
Progress on sustainable energy policies, critical to post-pandemic recovery, slower than in the past
RISE2020 Sustaining The Momentum
Climatescope 2020
Chad: Energy Country Profile
Energy Sector Management Assistance Program