日本政府は、6月20日に健康・医療戦略推進本部の会議を行い、その中で、8月下旬に横浜で開催される第7回アフリカ開発会議(TICAD)で「アフリカ健康構想」を表明すること決めました。 この構想を掲げ、最終的にアフリカで日本企業の製品やサービスを使った予防医療の普及を目指します。この過程において、国連が定めるSDGs(Sustainable Development Goals)で強調されているマルチセクターアプローチにあるように、企業、NGO、行政など様々なプレーヤーが協働しながら予防医療の普及を促していくことが盛り込まれています。
この健康構想の第1弾の事業として、現地の行政機関や病院と連携し、地域の医療サービスの多くを包括的に担う取り組みを始める予定のようです。
これは、①日本の医療機関などが巡回で検診を実施し、立ち寄った地域の医療・保健拠点向けに②NGOが手洗いの習慣や水道の衛生について指導し、清潔に保つ製品やサービス、人材育成の重要性を理解してもらう。同時に③企業が衛生を改善する浄水装置やせっけんを病院や自治体に売り込む。というように、様々なプレーヤーが役割を担いながら一体となり、より質が高く持続的な厚みのあるサービスを提供するということです。これまで日本のNGOや企業はアフリカで個別に衛生指導や製品販売に取り組んできましたが、今回の構想では、各者が一体になって現地で利用してもらえるような形を推奨しています。
この「健康構想」には歴史があり、2016年に出された「アジア健康構想に向けた基本方針」がモデルとなっており、アジアではすでに日本の官民が医療関連の製品やサービスを共同で売り込んできました。ですので、基本的なアプローチとしては、アジアとアフリカで違いはありませんが、両者の違いとして、NGOとの密接な連携はアフリカの方が強いようです。これは、アフリカにおいては、製品などの販売を拡大するうえで、より地域に根差したNGOによる指導などが企業のサービスや製品の普及において有効であると判断したからです。そのため、経済産業省や外務省、経団連、経済同友会などが立ち上げた「アフリカビジネス協議会」に健康分野の作業部会を設け、参加する医療機関やNGO、企業を募っており、すでに20社程度が関心を示しているようです。
この「健康構想」では、政府系の組織間でも一体となってこの構想に取り組んでいく構えとなっています。資金面では政府開発援助(ODA)の活用を検討するほか、経産省や厚生労働省、環境省も各省の政策を通じた支援を検討しているそうです。また、国際協力機構(JICA)や日本貿易振興機構(ジェトロ)、日本貿易保険(NEXI)も人材と資金で協力予定となっています。
日本政府としては、この健康構想による各セクターが一体となった取り組みで、政府は中国との違いが見える支援により、日本の存在感を高めたいという狙いがあります。中国は、「一帯一路」を掲げ、資源投資とインフラ建設を通じてアフリカ各国と関係を深めています。国連貿易開発会議(UNCTAD)などによると、中国からアフリカへの直接投資残高は約430億ドル(約4.5兆円、2017年時点)となり、日本からの5倍以上に達し、石油や鉱物など資源と道路や港湾などインフラに傾斜しています。もちろん、日本も資源とインフラを重視していますが、生活に密接な分野や経済の自立に役立つ分野でも協力して独自性を示したいようです。
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<参照>
日本政府首相官邸健康・医療戦略推進本部(第二十四回)議事次第
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisinkaigi/kaisai.html
日本経済新聞 「予防医療をアフリカで展開 政府、中国の戦略と一線 」 2019年8月6日
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48279280W9A800C1EE8000/
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