アフリカの多くの国で、グローバル大手企業のUberを筆頭に各国でローカルのライドシェアサービスが展開されています。例えば、エジプト発のライドシェアスタートアップ「Swvl(スエフル)」は、シリーズAラウンドで800万米ドルの資金調達を実施しました。同社は、自社でバスを運用し、バスを利用したライドシェアサービスを展開しています。今後、ナイジェリアにも進出を検討していたり、今年の5月に米フォード社と戦略提携していたり、注目されるスタートアップです。
今回は、同社のCo-Founder兼CEO、Mostafa Kandil氏の記事を参照し、ライドシェアサービスが交通問題に与えた影響について考えてみます。
かつてアメリカとヨーロッパでしか見られなかったライドシェアサービスは、ケニア、ナイジェリア、エジプトなどの新興市場に急速に拡大しています。 以前、このような場所における交通機関やタクシーを始めとする乗車サービスは、そもそもサービスの質や信頼性が低く、高価であることが多いため、ライドシェアサービスは利用者にとって素晴らしいサービスを提供していると言えます。需要が高まり、現在では、アフリカ大陸21か国で60社近くの企業がライドシェアサービスを展開しています。
しかし、ライドシェアサービスが増えたことで、道路を走る車の数も増え、特にエジプトの首都カイロやケニアの首都ナイロビなどの大都市では、交通渋滞が深刻な問題となっています。これは、新興市場での乗用車による課題に挙げられ、代替ソリューションの必要性が叫ばれています。
マニラの事例を挙げると、乗車サービスにより、街を走る車の数が毎日10,000〜15,000台増えているそうです。そのためドライバーは、乗客を乗せるだけで時間がかかっています。急速な都市化とまだまだ未熟な交通インフラは、カイロ、ナイロビ、ラゴスでも同じことが言えます。
新興国での乗車サービスの大幅な拡大の見通しと、それに伴う交通渋滞の問題は、一刻も早く取り組む必要があります。ある研究では、交通量の多い場所では、経済的ダメージも受けるというデータもあります。交通渋滞のため、長時間、乗車している人の生産性が低下し、交通渋滞した地域内で商品を輸送するコストが増大し、無駄な燃料にお金を費やすことにも繋がります。以上のような状態で、インドでは4つの主要都市が交通渋滞により年間220億ドルを失っていると推定されている研究結果も出ています。
交通渋滞の問題に、中長期的に、持続可能な方法で取り組むために、政府は地下鉄、ライトレール、バス、高速輸送システムなどに投資する必要があります。これらを整備するためには多額の費用が必要であり、先進国でも常に計画どおりに実行されるとは限りません。そのような状況下で、多くの人を乗車できるバスのライドシェアサービスのアプリなどの民間セクターのソリューションは、車のライドシェアサービスにはない可能性を秘めています。
Swvlでは、一度に最大30人まで収容できる快適なバスで、利用者とドライバーをマッチングします。また、車の場合よりも最大40%低い価格で利用することができます。これまで、カイロは、交通渋滞が課題であり、毎年エジプトのGDPに80億ドルの打撃を与え、回避可能な交通事故で1,000人以上が死亡していましたが、これらの解決策として注目されています。
Swvlの専用のアプリをダウンロードした利用者が行先を設定することで、最適なルートを教え、ドライバーとマッチングできます。利用者は、料金確認や空席予約、決済までを全てアプリケーション上でできる点はUber等の他のライドシェアサービスと変わりませんが、バスである点で、そもそもの道路を走る車の数を減らすことに貢献しています。『新興国市場で手ごろかつ便利な公共交通機関のシステムを構築したい』というビジョンに向けて、サービス拡大しています。Swvlで、少しでも新興国の交通渋滞が緩和されることに期待です。
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<参照>
Ride-hailing apps are making the developing world’s traffic problems worse
https://www.weforum.org/agenda/2019/08/ride-hailing-apps-developing-world-traffic-problems/
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