日本とアフリカは共に進んでいく。ビジネスは両国のために。

2019.09.25
アフリカ協会顧問 玉川雅之様
日本とアフリカは共に進んでいく。ビジネスは両国のために。

本サービスの運営会社AAICのアドバイザーでもある玉川雅之さん(たまがわ・まさゆき)さんは、アフリカ協会顧問、アフリカ開発銀行前アジア代表事務所長を務められ、アフリカのビジネス事情を詳しく把握されています。
「ANZA」では、玉川さんにアフリカと関わるきっかけやアフリカビジネスについて話を伺いました。最後に、今後アフリカでビジネスを始めようとする方に向けてメッセージをいただきました。

―玉川さんは、アジアを中心に活動をしていたとお聞きしています。そこからアフリカに関わるきっかけを教えてください。

私は、金融セクター関連の業務一筋で、アジア金融危機の真っただ中に、大蔵省からキャリアのスタートをきりました。そこでは、国際担当企画官としてアジアの仕事をしつつ、経済協力開発機構(OECD)でソ連崩壊後の東欧の金融制度の立て直しに携わりました。その後IMFへ移り、途上国の制度や、アジアの金融セクターの整理に従事し、国税庁などでは税務テクニカルアシスタンスに関わりました。アジア開発銀行(ADB)に移り、組織の設計や、経営戦略などに携わるなどした後に、アフリカ開発銀行初代アジア代表事務所長などを務めました。

本格的にアフリカと日本のかかわりについて考えるようになったのは、アフリカ開発銀行(AfDB)の東京事務所の所長に応募しないかと誘われたこと、2012年にアフリカ開発銀行のアルーシャ(タンザニア)で開催された総会に出たこと、そして金融をとりまく主要な課題がアフリカに移ってきたことがきっかけです。第5回TICAD(アフリカ開発会議)(以下TICAD5と表記)が開催された際には、これから日本がアフリカとどのようにかかわっていくかを議論する機会がありました。

―日本とアフリカの関係について、具体的にはどのような議論が行われたのですか?

アフリカへのビジネス投資についてです。以前は、アフリカがお金で困るとODA(Official Development Assistance:政府開発援助)の投資や支援として関わろうという流れが一般的でしたが、日本人がアフリカにビジネスで投資し、アフリカ人と一緒にビジネス展開をしていこうとする流れが生まれてきました。アフリカで事業を立ち上げることで、現地の雇用を生み、互いに利益を得ることにつながります。

―アフリカと日本がビジネスで手を組むことに注目されたのですね。

もちろん、自然環境や民族紛争、貧困などの課題においては、従来のODAの関わりも必要ではあります。しかし、アフリカ全体をより発展させるためには、政府が主導したトップダウンの開発だけではなく、プライベートセクターリードの開発において、アフリカと日本が手を取り合うのは非常に価値があると思います。当時のアフリカ開発銀行も、先進国から投資を呼び込みたいとする計画があったので、この取り組みに関わりました。

―この動きを受けて、まわりの反応はいかがでしたか?

BOPビジネス(Base of the Pyramid/Bottom of the Pyramid:途上国のBOP層にとって有益な製品・サービスを提供することで、当該国の生活水準を向上させると同時に、企業の発展も達する持続的なビジネス)を支援する動きや、ABEイニシアチブ(African Business Education Initiative for Youth:アフリカの若者のための産業人材育成イニシアチブ)の動きが生まれました。JICAでも、開発ではなく新しい方法を検討することになりました。

援助的支援を行いつつビジネス支援をすることが、日本にとっても長期的観点からも効果的であるという合意ができたため、「日本もどんどんアフリカに!」という雰囲気となり、それに関連する書籍もたくさん出ました。他の先進諸国に比べて日本はスピーディーに動きませんが、いくつかの企業がアフリカに進出しましたし、善意でビジネスをやる人や開発に貢献する人も多くなり「そんな人や企業を応援しましょう」という話も出ました。

―日本政府の動きはいかがでしたか?

アフリカ開発銀行の総裁が、安倍総理と面会することになりました。安倍総理は非常に明確に「総理として、日本からアフリカにビジネスを進出させていくことを先導したい。TICAD5後に、自ら現地に企業を連れて訪問する」と話したため、インパクトがありました。

経済産業省では、以前よりBOP研究会を行っていましたし、アフリカビジネスを応援するためのアフリカビジネス振興サポートネットワーク(AB-NET)を立ち上げました。

―過去に進出した日本企業はありますでしょうか?

民間の動きとしては、「豊田通商」がアフリカにコミットすると発表し、買収したフランス商社「CEFAO」をアフリカ事業本部に一体化させ、アフリカ現地での雇用を拡大させました。「JT(日本たばこ産業)」もたばこ会社を買収しています。アフリカに合わせてスペックを変えたり、製品の製造プロセスを変えたりすると商品が売れる可能性があるので、知恵を出しながら進めていく必要があります。

BOPビジネスの例としては、「ルワンダ・ナッツ・カンパニー」はいいモデルをつくっていると思います。その他、中小企業での成功例としては、ケニアのバラを輸入販売する「AFRIKA ROSE」や、ケニア・ナッツ・カンパニー創業者の佐藤さんの呼びかけで始まった「アントレAFRICA日本」があります。

―日本では東アフリカの話をよく聞きますが、西アフリカでの日本企業のビジネスについても教えていただけますか?

ガーナやコートジボワールなど西アフリカのビジネスも活発化しています。「豊田通商」は、コートジボワールで1万人を雇用しています。安倍総理は、日本の総理大臣として初めての仏語圏西アフリカの訪問先として、コートジボワールを選びました。アフリカ開発銀行の拠点がそちらに移り、今後の発展の拠点として期待されるからです。

「ヤマハ」も西アフリカで頑張っていますし、「味の素」もガーナ、「サンヨー食品」がナイジェリアでビジネスを展開していますよ。

―アフリカはビジネスを進めるのに向いているのでしょうか?

アフリカは、意外にもスピーディーに成長できる国であると思います。実はIT化が進んでいて、モバイル送金も行うほどです。教育の面においても、フランスやイギリスなどの教育システムが生きていたりするので、英語・フランス語が使えて言語で困ることはほとんどありません。規制のない医療などは、サービス品質はそこそこでも、規制がないからこそ遠隔医療であったり、オンラインショップで簡単に薬を購入できたりするので、そこも面白いと思います。また、アフリカ経済共同体として、国間の流れが県庁間くらいのイメージで、スムーズだと思います。アフリカ連合(AU)ということで、「アフリカ人」としての一体感があるのもプラスになるかもしれません。

―今後、アフリカにはどのようなビジネスチャンスがあるのでしょうか?

日本人のアフリカにおけるビジネスチャンスはたくさんあると思いますよ。日本の本当の強みとしては、B2B(企業間の電子商取引)や先端技術、素材などが挙げられると思います。

また、消費者市場においては、中流階級が育ってきたこともあり、自動車や二輪車産業もいいと思います。その他では、アフリカ人は人生を楽しもうとするおしゃれな人も多いので、それに応えられる商品です。現在でも、ウィッグの「カネカ」やスキンケアの「ロート製薬」などが活躍しています。日本と同等のクオリティで、価格がお手頃だといいですね。また、簡単な消費財は、中国や韓国に取って代わられる可能性が高いですが、コアな部品などは日本の存在価値があると思います。アジアで成功したモデルをそのままアフリカで適用できるケースもありますね。しかし、輸出においては距離が遠いなどの状況が異なるので、考慮が必要です。

―今後、アフリカの中でビジネスしやすい国はどこだと思われますか?

ビジネスをしやすいのは、やはりケニアだと思います。ナイジェリアもアフリカ最大の人口を誇る経済大国でポテンシャルが非常に高く、それからセネガルなども可能性があると思います。

一方、エチオピアもポテンシャルがありますが、規制などがあって大変です。アンゴラ、モザンビーク、南アフリカのような資源国は、資源への依存度の高いビジネスなので、最近は勢いがありません。資源で成長した国と、資源に頼らず成長した国とで大きく命運を分けている印象です。

―アフリカ進出をご検討中の方へ、メッセージをお願いします。

アフリカ進出は、自分が儲かるだけではなく、アフリカの成長に貢献できたりする機会があります。これによって、自分も相手も幸せになれますし、ビジネスが結果的に開発につながる例もあると思います。

また、中国がやっていて儲かっていそうだからとか、バングラデシュよりエチオピアの方が人件費が安いから、などの理由よりも、面白い挑戦分野としてアフリカでビジネスに取り組むことで、自分たちの事業の面白さや将来の夢などを得られるのが、アフリカビジネスの醍醐味だと思います。ワクワクして投資したものが結果としてリターンを生むこともあると思います。

アフリカ自体の可能性は非常に高いと思いますが、アフリカでうまくいく事業モデルや、付加価値をどう作れるかが課題。そして、日本人だからこそできるチャレンジが、きっとあると信じています。

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