シエラレオネで活躍する国連職員!アフリカ進出は国際機関との連携も鍵となる。

2020/06/30
IOM(国際移住機関) 赤尾邦和様


ANZAでは、IOM(国際移住機関)の職員としてシエラレオネ赴任されている赤尾邦和氏に、ご自身のアフリカでのご経験と想いについてお話を伺いました。

ーはじめに自己紹介をお願いします。

IOM(国際移住機関)で働いている赤尾と申します。2016年の7月からシエラレオネで活動しているので、ほぼ丸4年間在籍しています。もともとはITコンサルタントの企業で5年間働いた後、大学院で公共政策学、開発学を学びました。卒業後はJICAに転職して、本部、及びスーダンで活動していました。そして今に至ります。民間企業での経験があったので、JICAの時から「いかに民間企業とうまく連携して価値が高い開発プロジェクトを形成していくか」を意識しながらプロジェクトを進めてきました。

IOMでも、Doleのパイナップル生産事業で伊藤忠商事さんと提携させて頂いておりますし、2018年にはJETROさんと合同で農業投資セミナーをさせていただきました。そこでは主に海外にいる日本企業の方にシエラレオネに実際に来てもらって、シエラレオネの投資の可能性を知ってもらえるような企画を行いました。他にもe-ラーニングを提供するDigital Knowledge社と連携したりと民間企業と協力してプロジェクトを進めています。

最初にITコンサルティング企業に入られた理由はなんですか?

開発業界もコンサルティングもそうですが、プロジェクトベースで進みます。1〜2年、短ければ3ヶ月、半年などでプロジェクトを回して成果を出すというのをやっていて、プロジェクトを回せる人材って貴重だと思ったので、コンサルティングという仕事を選びました。あとはITが好きだったことも理由です。いずれ開発協力の世界に戻ることを想定していましたが、民間企業で経験を積みたいと考えていたので、新卒時はNPOやJICAに入ろうと考えていなかったです。開発業界がスタンダードだと思っていることは必ずしもスタンダードではないし、マネジメントの仕方なども民間企業で経験を積んだほうが、開発業界で働く際に活かせると当時は考えていました。


ー色々な民間企業と連携して進めているのですね。JETROさんと農業投資セミナーを開催した背景は教えて下さい。

シエラレオネの進出を検討したいといっても、マクロ経済の指標を並べて他国と比較するとどうしても優位性を示すのは難しいですし日本にいながら取れる情報が少ないというのがあるので、なかなか日本企業が検討するきっかけが少ない国です。JETROと共催のツアーという形があれば、社内での許可が出やすいかもしれませんし、実際に行ってみることで分かることがあると思って企画しました。実際に農業投資セミナーを通して、カカオの輸出事業をシエラレオネでも始めた企業もありましたので、開催した意義はあったと思います。

ー普段もそのようなプロジェクトを行っているのですか?

私は移民を支援する国連機関に所属していますので、日本企業向けの投資セミナーをメインでやっているわけではもちろんありません。ただ、移民というのは受益者にとなる場合と、彼らから送金や投資など母国を支援するという場合があります。ディアスポラと呼ばれる正規の手続きで国外に移住したシエラレオネ人海外在住移民がいてシエラレオネでもイギリスやアメリカ等に移住していてある程度裕福になったディアスポラたちが送金を通して母国の援助を行っています。特にエボラや今回の新型コロナの時は海外にいるシエラレオネ人ディアスポラが支援金を募って支援していました。ディアスポラによる海外投資の規模を大きくしたらより国の発展につながるのではないのかなと考え、投資を促すプロジェクトを行いました。


ー移民はそのような二面性があるのですね。

移民は先進国からすると仕事を奪う存在、新興国では優秀な人材の流出などネガティブな見方をされてしまうこともありますが、実は正規の移民は移民を受け入れる国、移民を出す母国双方にプラスの効果があります。一例として彼らが海外から投資や支援金を呼び込む呼び水となる可能性があります。ビジネスを開始するにしても一人でなんでもできるわけではありません。また、ビジネスを始める上で必要な資本や技術にアクセス出来ている人と、できていない人では大きな差があります。母国と海外のつながりを持つディアスポラは、資本や技術を持つ人と繋がる機会がある場合が多く、IOMとしても彼らが活躍できるような環境づくりを支援しています。

ーシエラレオネのディアスポラの中で、投資をしたいと考えているのはどれくらいるのですか?

世銀が2015年に行ったシエラレオネのディアスポラの調査によると、70%近くがそのような思いを持っているとあります。ただ、実際に投資をしている人は10%〜15%の間です。

経済的な面でアメリカとかイギリスにいますが、母国が一番安心する場所なので、いつかは自分の母国に戻りたいという想いはあると思います。

またIOMが2014年に調査をしたところによると、母国にちゃんとした仕事があれば、すぐに戻りたいと答えた人は70%〜80%いました。

ーシエラレオネでのビジネスの可能性はありますか?

何のビジネスを行うのかにもよります。伊藤忠商事さんの子会社であるDoleのパイナップル工場のように生産拠点としてビジネスをするのか、消費市場と位置付けて商品をシエラレオネ内で販売するビジネスをするのかで見方が変わると思います。

シエラレオネはアフリカの中でも一人あたりGDPは低いので、シエラレオネ内での販売ビジネスは難しい場合があると想定されます。一方、生産拠点としてビジネスをするのであれば、雨もよく降ったり、土地も良いところもあるので、伊藤忠商事さんのように農業生産分野の進出は可能性があると思います。

他の国のように電気が通ってる、舗装された道路があるなど基本的なインフラが整備されていない国であるのは事実です。実際、世銀の「Doing Business」を見ても190カ国中163位と低く、ビジネスのしやすさ、起業のしやすさ、お金の集まりやすさを客観的に見ても厳しいです。ただ、ビジネスのしやすさとビジネスが成功しやすいかはまた別なので、シエラレオネのような競合がいない国に進出するのは一つの手だと思います。

国際機関と連携して現地調査することで、ビジネスを始めるきっかけをお手伝いはできるかもしれません。2018年にJETROさんと連携したディアスポラ農業投資セミナーを開催したのはこの考えもあってのことです。こうしたセミナーがあればシエラレオネのような国に出張する理由付けになると考えました。一回現地にいけば、何かあります。それを基に社内で検討して膨らませることができると思います。

ーアフリカで活躍する人の特徴は何でしょうか。

大体のことってなんとかなると思うのですが、できるまでに多くの時間がかかったり、めんどくさいことがたくさんあります。それを最後まで粘り強くできる人はアフリカでもやっていけるのではないかと思います。

スキルはもちろん必要ですが、いくら優秀な人が行ったとしてもアフリカではほとんどうまくいきません。うまく進まないというのを捉えて、根気強くやられている方はおしなべて何かしら成果を出しています。あとはその状況を楽しみながらできる人は強いと思います。

ーアフリカにはもう6年間いるとのことですが、アフリカに対する想いはありますか?

もともと2003年にイラク戦争前後にイラクに調査に訪問したこともあり、中東に関心が強く、そこから開発業界に興味をもちました。調べてみればいろいろな国に面白さというのはあるので、スーダン、または、シエラレオネに駐在して現地に住みながらアフリカに対しての想いが高まって来ました。僕はその国にいたら好きになるタイプなので、楽しくやっています。

ー今後の展望について教えて下さい。

今後も開発業界での活動を考えています。明確な目標は作りにくいですが、シエラレオネに4年もいるので、そろそろ違う国でやってみたいという想いはあります。

この業界はどうしても良いプロジェクトと良くないプロジェクトが混ざってしまいがちなので、質の高いプロジェクトを目指していきたいと考えています。可能であればプロジェクトを外部の人間がしっかり評価できるような取り組みをしていきたいです。

ー最後に、今後アフリカ進出を目指す企業や人に向けたメッセージをお願いします。

諦めなければ、成功します。アフリカでビジネスをするのは不確実性が高いので、国際機関やJICAなどのノンビジネスセクターを活用して頂くと多少のリスクは減ると思います。できることがあればお手伝いしますので、お声がけしていただけたら幸いです。

ー貴重なお話いただきありがとうございました!

シエラレオネの関して幅広い知見と経験を生かして日本とシエラレオネをつなげるパイプ役を務める赤尾さん。国際機関や移民支援という視点から民間企業との連携を行っているというお話が印象的でした。

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