今回取り上げるセネガル共和国(以下、セネガル)については、2018年に行われたFIFAワールドカップのロシア大会で、日本と対戦したこともありその国名を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
治安も安定しており、日本人にとっても訪れやすい同国について、ビジネスに役立つ情報を交えながらご紹介します。
セネガルの基本情報
以下、セネガルの基本情報をまとめました。
面積:197,161平方キロメートル(日本の約0.5倍)
人口:1629万人(2018年)
人口増加率:2.7%(前年比)
首都:ダカール
宗教:イスラム教、キリスト教等
通貨:CFAフラン(XOF)
※1ユーロ=655.957CFA(固定レート)
※1円=5CFA(2020年7月)
公用語:フランス語
セネガルの経済状況
GDP:235億米ドル(2019年)
1人当たりGDP:1,446米ドル(2019年)
GDP成長率:1.4%(前年比)
輸出総額:36億米ドル(2018年)
輸入総額:80億米ドル(2018年)
日本企業専用の経済特区の設置
セネガルは2035年までに、経済成長が期待される新興国入りを目指すことを「セネガル新興計画(PSE)」で示しており、その一環として経済特区やインフラの整備が進んでいます。2017年にはブレーズ・ジャーニュ国際空港が開業した上に、空港から首都ダカールへの高速道路の整備も実施されており、物流インフラが向上しています。
また現在首都ダカールをはじめ、サン・ルイ、サンジャラ地域の3地域、5カ所で経済特区の整備が進んでいます。この経済特区では最長25年にわたる優遇措置が受けられ、関税や所得税が免除されるほか、通常30%の法人税率は15%に減税されます。さらには有期雇用契約の上限が5年まで可能になるほか、道路・ITネットワークなどのインフラ整備も経済特区では加速し、ビジネスがしやすい環境に整備されるという利点があります。
日本企業の誘致のための取り組みも進んでいます。
昨年のTICAD7で安倍前首相とセネガルのサル大統領との首相会談で「日・セネガル投資促進経済委員会(以後、「経済委員会」)」が立ち上げられたのをきっかけに、セネガルへの日本企業誘致の動きも加速しています。
2019年時点ではセネガルに進出した日本企業は9社とアフリカトップの南アフリカ(141社)と比較すると少ないですが、今年2月、アフリカ貿易・投資促進官民合同ミッションがセネガルを訪問した際、セネガル政府が日本企業専用の経済特区とワンストップ窓口を設置すると発言しており、その動きが注目されています。
今のところどのような優遇が受けられる経済特区になるかはまだわかっていないものの、同地区に日本企業を集約させるようになれば、現地で日本企業同士がチームJapanとなって、セネガルでの事業拡大に協働できるのではないでしょうか。
実際に、アフリカ貿易・投資促進官民合同ミッションの一員としてセネガルを訪れていた「TUMIQUI Japon SASU」は、現地で事業を開始しています。
同社は経済特区のサンジャラにて、携帯型太陽光発電と通信機器を組み合わせたモバイルソーラーユニット「TSUMIQUIキット」を用いて、未電化地域に電気とインターネットを届けています。
セネガル政府による日本企業誘致の動きが加速する中、今後進出する企業にとってはセネガル国内の治安の安全性の高さも、日本企業誘致を後押しするのではないでしょうか。
IT産業で西アフリカを牽引
またセネガルはアフリカのフランス語圏で最もIT産業が発展していると言われています。
実際、VCファームのPartechによると、セネガルは2019年にTechベンチャー分野において1600米ドルを調達し、アフリカフランス語圏の中で最も多い金額を調達しています。
セネガルのIT産業の70%は輸出を目的としており、その対象国は旧宗主国のフランスだけでなく、ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)、UEMOA(西アフリカ経済通貨同盟)への市場も狙っています。将来的にはIT産業における西アフリカのハブ拠点として、地位を獲得することを目指しているようです。
既にGoogleやMicrosoftなどのIT系の外資企業は現地に支社を持ち、西アフリカの拠点としています。経済大国のナイジェリアには経済規模は負けるものの、経済特区での便益と治安の安定を考えれば、十分西アフリカ進出拠点にもなる可能性を秘めています。
ECOWAS内で通貨統合の動き
2019年の6月に開催されたECOWAS首脳会談で、2020年までにセネガルを含む同域内にて新しい単一通貨を導入することが決定しました。
Ecoに関する取り決めで重要な点は、
①西アフリカ諸国中央銀行(BCEAO)が発行したCFAフラン(XOF)を採用していた国が最低半分をフランス銀行の口座に預けるという従来の仕組みの廃止
②BCEAO理事会にフランス代表を派遣の廃止
③ユーロの固定レートの継続
④Ecoの導入はECOWAS内のみであり、中央アフリカ諸国中央銀行が発行するCFAフラン(XAF)を採用している国では、新通貨Ecoの導入はない
セネガルはこれまでBCEAOが発行する、ユーロとの固定通貨のCFAフランを使用してきましたが、新通貨Ecoを採用することで、旧宗主国のフランスから通貨への関与が薄まっています。同時に、これまで西アフリカ8カ国で交換性のある通貨を利用してきましたが、ECOWAS加盟国15ヵ国が同一通貨を採用することで、同域内での貿易が加速することが期待されています。
ただ、ECOWAS域内のGDPの3分の2をナイジェリアが占めていることもあり、Ecoの金融政策がナイジェリア有利なものに進められるのではと懸念されています。
とはいえ現在議論が進んでいるアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)協定とEcoが導入が実施されれば、アフリカ域内での貿易がより加速することは間違いありません。
AfCFTAについは、こちらの記事をご参考ください。
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《参照》
2020年9月25日閲覧
『セネガル共和国 基礎データ』
『World Bank Database』
『Senegal trade statistics』
『アフリカ貿易・投資促進合同ミッション』
『自社の強みを生かせる市場としてセネガル、アフリカを捉えてみては?』
『Les Zones Économiques Spéciales』
『Senegal: export development of IT and IT enabled services』
『2019 Africa Tech Venture Capital Report』
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