前回は、アフリカで生産量がトップの「キャッサバ」、「トウモロコシ」、「コメ」の3品目について、栽培に適した気候・場所と、アフリカ料理も楽しめる食堂などを紹介しました。
(前回記事:【アフリカなんでもランキング】アフリカトップの生産穀物・イモ類(キャッサバ、トウモロコシ、コメ)~栽培に適した気候・場所と、アフリカ料理を楽しめる食堂~)
今回は、生産量トップを誇るナイジェリアと、アフリカの気候の不思議についてお伝えします。
1.ランキングで圧倒するナイジェリアの農業
図表1を見ると、ナイジェリアが3品目で上位にランクインしており、ナイジェリアの農業における高いポテンシャルが見受けられます。特にキャッサバはアフリカの生産量の3分の1超を占め、コメは2位のエジプトの約1.6倍の生産量です。
図表1:アフリカの穀物・イモ類生産量国別TOP10(2020年版)
単位:1,000t
出典:FAOSTAT.
ナイジェリアは乾燥帯と熱帯の2つの気候帯に属しており、土壌の肥沃度や天候の側面で不安定な地域です。それにもかかわらず高い生産力を誇るのには複数の理由があります。その1つとして人口が挙げられます。
アフリカで最大の人口を抱えており(2億1,140万人)、2番目に人口が多いエジプトの約2倍です。そしてその内70%以上の人々が農業に従事していることが高い生産力の理由となっています。
農産物の中でも特にキャッサバはナイジェリア全土で広く食べられており、主要産地である南部では農業従事者の50%超がキャッサバ栽培に携わっています。
また、国の農業政策も生産力を高める要因の1つとなっています。ナイジェリアの農業には、技術力の低さや生産コストの高さなど課題もありますが、これらの課題に対して国を挙げて政策を実施しています。
例えば、特に輸出入に関しては、コメなどの品目で輸入の禁止を実施し、現地生産量の向上に向けた対策が取られています。また、2011年に導入された農業改革計画(ATA = Agricultural Transformation Agenda )は農業における新規雇用と生産拡大を目指した政策で政府のイニシアティブにより成果が出ており、現政権でもその基本が継承されています。
2.緯度と気候の不思議
さて、ここで前回も登場しました図表2のアフリカの気候区分と、今回は図表3のアフリカと赤道の位置関係とを比較してご覧ください。少し不思議な点があることにお気付きでしょうか。
図表2:アフリカの気候区分
図表3:アフリカと赤道の位置関係
なんと、アフリカでは赤道付近の地域が最も冷涼地帯となっているのです。
実はアフリカの赤道付近の国々は標高が高い地域が多いため(標高1,000m以上の都市もあります)、赤道直下にも関わらず現地の人々は非常に涼しい気候の中で生活しています。
例えば赤道付近に位置するルワンダでは、年中日本の軽井沢のような快適な気候を満喫できます(平均気温20℃前後)。日本と比較して湿度も低いため、特に近年の日本の猛暑の中では、こうしたアフリカのさわやかな気候が懐かしく思い出されます。
「アフリカと言えばどこもかしこも灼熱の大地…」とイメージされていらっしゃった方にとっては、新鮮な発見で、訪れるハードルも少し下がったかもしれません。
アフリカの主要農作物である「キャッサバ」、「トウモロコシ」、「コメ」を通して、色々な角度からアフリカを見てきました。アフリカのイメージが少しでも広がれば幸いです。
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■参考文献
農林水産省-ナイジェリアの農林水産業概況
農林水産政策研究所-第5章アフリカ―コメの需要と関連政策-「主要国農業戦略横断・総合」第8号
Peel, M. C., et al- Updated world map of the Koppen-Geiger climate classification
FAO-Nigeria at a glance
JETRO- ナイジェリアの産業政策と参入の課題
JICA-連邦農業農村開発省政策アドバイザー業務フェーズ2
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