医療インフラの整備が遅れるアフリカで起きているリープフロッグ現象とは!? 【リープフロッグ事例③】

2022.04.24
ANZA編集部
医療インフラの整備が遅れるアフリカで起きているリープフロッグ現象とは!? 【リープフロッグ事例③】

 

アフリカを中心によくみられるリープフロッグ現象。

今回は、医療インフラが脆弱な社会で起きているリープフロッグ現象を紹介します。

アフリカ全体で基礎インフラの整備不足から始まる悪循環によって、医者、血液、医療器具不足と、医療分野にも問題が広がっています。

脆弱な基礎インフラの中、医療インフラも整えていかなければならない、そんなアフリカで起きたリープフロッグ現象について詳しく見ていきます。

血液不足のアフリカ各国

 

Rh-やABO式血液型といった珍しい血液型を持つ急患が運ばれてきて、そこで輸血不足に困るシーンは日本の医療ドラマに緊迫感をもたせる定番ではないでしょうか?

実はアフリカでは、珍しい血液型はもちろん一般的な血液型の血液も慢性的に不足している現状、つまりあの緊迫した状況が日々起こっています。

例えばナイジェリアでは年間、152,000人の貧血の子供の命と37,000人の妊婦の命が奪われています。

日本も血液不足と言われているものの、それが死亡の原因になることはほとんどありません。日本の血液事業は日本赤十字が唯一の採血者として献血事業を行い、その後日本全国に供給されています。また海外からの血液を輸出入することもありますが、それらの供給が地域レベルで管理されており、血液不足が起きないようになっています。

アフリカも同様に赤十字や政府系血液バンクが献血を行い、血液の確保に努めています。しかしその量は不足しており、そして何よりも管理体制が整っていません。

実はアフリカ各国の血液不足は、管理体制によって引き起こされていると言っても過言ではありません。ただ日本とは違い、面積が広いアフリカではその管理体制を確立するのに時間を要します。この状況を打破するために起こったリープフロッグ現象の一つが医療用血液のUberです。

血液バンクとドローン輸送

 

先程ナイジェリアでは年間多くの方が血液不足により命が奪われていると説明しましたが、そのナイジェリアで医療用血液のUberを作ったのがLifebank(ライフバンク)です。

2015年に設立されたLifebankは、翌年からスマートフォンアプリを使った血液の注文・配達サービスをスタートさせ、病院と血液バンクを繋ぐ役割を果たしています。

実はナイジェリアの各病院は、1もしくは2の血液バンクとしか提携しておらず、その血液バンクの血液が不足すると血液の確保ができずにいます。しかしLifeBankが提供するアプリを使用するとナイジェリア最大都市のラゴス市内だけでも60の血液バンクから血液の供給を得られるようになります。スマートフォンで必要な時に必要な血液を注文し、即座に配送されることを可能にしたことで、日本の日本赤十字社のように全国を統括する機関がいなくても、血液の適切な供給が可能になったのです。

本来は全国を統括する組織を運営し、管理する必要がありますが、スマートフォンを代替技術として血液の適切供給を可能にし、血液不足の社会課題に取り組んでいます。

またLifebankはバイクによる血液郵送だけでなく、ドローン技術を使った血液輸送にも挑戦しています。

医師の数も保険加入率も問題視されるアフリカ

 

先程血液が不足している例としてあげたナイジェリアは、医師不足にも陥っています。

同国の2018年の人口1万人当たりの医師数は3.81人となっています。これはWHOが推奨する10人と比べても、極めて低い状態にあります。

またグラフを見るとケニアやルワンダなど多くのアフリカの国々がナイジェリアよりもさらに深刻な状態にあることがわかります。

医師の過重労働が問題視される日本でさえ、人口1万人当たりの医師数が24.8人と考えるとナイジェリアをはじめアフリカ各国の医師不足の深刻さが伺えます。


また健康保険加入率も低い状態にあります。ナイジェリアは1999年国民健康保険制度(National Health Insurance Scheme、「NHIS」)が設立、2015年からサービスが開始していますが、2016年12月時点でその加入率は国民全体の4%の740万人にとどまっています。その加入者も政府関係者などのいわゆるフォーマルセクターで働く人ばかりです。一方、貧困層の多くを占めるインフォーマルセクターで働く人は国民の90%以上と多く、彼らにもお金の負担を少なくし、医療サービスを提供する必要があります。

 

薬局が果たすプライマリケアの役目

 

医師不足や低い保険加入率という背景もあり、ナイジェリアでは多くの人が軽度の体調不良であれば最寄りの薬局にいく習慣があります。

そして薬局で自身の症状にあった薬を提供してもらっているのです。まさに日本でいう「町医者」のようなプライマリケアの役割を果たしているのです。

医者不足や低い保険加入率という社会問題から薬局が多くの人の代替手段になる中、薬局も在庫不足や知識不足といった問題を抱えています。

そんな現状を解決するべく、昨今多くのスタートアップ企業が立ち上がっています。リープフロッグ現象として、表舞台に立つ薬局を彼らがいかに支え、リープフロッグ現象を加速しているのか、気になる方はぜひ、以下の記事も合わせてご覧ください。

https://anza-africa.com/blog/2635


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《参照

https://lifebank.ng/

『Nigeria’s digital blood bank -BBC News-

https://www.dataphyte.com/latest-reports/development/health-insurance-in-nigeria-only-3-of-nigerians-are-covered/

Assessment of the design and implementation challenges of the National Health Insurance Scheme in Nigeria: a qualitative study among sub-national level actors, healthcare and insurance providers.

 

 

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