カエル跳びで発展!?リープフロッグ現象とは?
みなさんは「リープフロッグ現象」という言葉をご存知でしょうか?
この現象を理解していれば、アフリカで起きている急速なIT化の要因やアフリカ進出の可能性を見出せるかもしれません。
今回はそんなリープフロッグ現象について、簡単に解説していこうと思います。
リープフロッグとはそもそも「leap(跳ぶ)」と「frog(カエル)」という2つの英単語を組み合せて作った造語です。つまりカエルが宙を跳ぶように、いろんな段階を飛ばし、一気に発展する様を表しているのです。
社会インフラが整っていない途上国は、先進国と同じプロセスを踏んでテクノロジーやサービスが発展していくとこれまで一般的に考えられてきました。
しかし直近のアフリカや新興国の様子を見ると上記の説明が当てはまらないケースが出てきています。先進国が辿ってきた道を1つずつ辿るのではなく、現状から一気に世界最先端の技術を利用するという現象が起こっており、これらが「リープフロッグ現象」と呼ばれています。
リープフロッグ現象で事例としてよく使われるのが「電話」です。かつて日本では一度電話交換手を中継し、そこから話したい相手に繋いでもらい、ようやく電話ができる形が初期の仕組みでした。その後電話交換手が不要な固定電話が生まれ、さらに持ち運べる携帯電話へと変わり、現代では当たり前になったスマートフォンが誕生しました。
今日、アフリカにおいて固定電話機の普及は全くと言っていいほどに進んでいません。一方、フィーチャーフォンやスマートフォンを手にしている人々は多く、2019年時点でアフリカで4.77億人(45%)がモバイルサービスを利用しています。固定電話のステップを一気にカエル跳びし、持ち運べてインターネットに接続でき、様々なサービスにアクセスできるフィーチャーフォンやスマートフォンが普及しているということです。
では一体どうして、このリープフロッグ現象がアフリカで起きているのでしょうか?
関連記事:住所未整備のアフリカで起きているリープフロッグ現象とは!? 【リープフロッグ事例①】
なぜアフリカでリープフロッグ現象が起きているのか?
理由は大きく2つあると考えられています。
1つは情報社会が進み、外国の情報や技術の伝来が容易になったことにあります。
今日ではアフリカにいたとしても、日本や欧米社会の様子は情報として簡単に入ってきます。だからこそ、外国で普及している最先端技術や商品を知ることができるのです。
その中で、遠距離の通信方法としてフィーチャーフォンやスマートフォンが普及していると知った時、彼らが何を思うか想像してみてください。
それはおそらく「一番便利なスマートフォンが欲しい」と考え、電話初代の固定電話に魅力を感じる人はあまりいないのではないでしょうか。
決まった場所で電話しかできない固定電話と、電話に加え、メールやゲームができるスマートフォンでは後者を欲しいと望むのが当たり前です。
そのため、ビジネスをする側としても固定電話よりフィーチャーフォンやスマートフォンの需要が高く、どちらの消費財を扱うかは一目瞭然です。
もちろん価格や社会インフラ状況といった理由から、最新の技術や商品の導入を諦め、一世代古いものを導入することはあります。フィーチャーフォンがアフリカでまだ利用されていることはまさにその例で、その原因はスマートフォンの価格にあります。
しかし価格や社会インフラといった障壁を越えられる時、古きステップ(固定電話)は踏まず、新しいステップ(フィーチャーフォン・スマートフォン)へカエル跳びするリープフロッグ現象が起きるのです。
そして2つめのリープフロッグ現象が進む理由は、先程障壁となる社会インフラの状況が関係してきます。
電話の例で考えると、固定電話のために通信インフラを整備する場合、各家庭を有線で結ぶ必要があり、国全体での大規模な通信インフラ整備が必要となります。
社会インフラが整っていない途上国では道路環境も悪く、固定電話のための通信インフラ整備には大きな手間とコストがかかります。しかし、フィーチャーフォンやスマートフォンは一定の地域内に1台無線基地局を設置し、それぞれの基地局を有線で繋ぐだけで通信環境を整えることができます。
この時、あらゆるコストを考えた時に固定電話に関するインフラ整備を行うことは、現地政府や国民、参入企業にとっても魅力的ではありません。フィーチャーフォンやスマートフォンのためのインフラ整備を行う方が、低コストで生活の質を向上させることができ、収益性も高くなることが安易に予想できるからです。
このように現地の社会インフラの脆弱性を理由に、大規模なインフラ整備を必要としないより低コストで効果のある選択肢が選ばれることがあります。
特にアフリカは国土が広い一方で、人口が一部の地域に集中している特徴や、住居が定まっていないという特徴があります。そういった背景も、電話におけるリープフロッグ現象が生まれた背景にあるのかもしれません。
関連記事:銀行口座を開けないアフリカで起きているリープフロッグ現象とは!? 【リープフロッグ事例②】
他にもある?リープフロッグ現象が起きる要因!?
次に上記で説明した2つの理由以外にも、様々な理由が考えられるということをお伝えしたいと思います。
先日、豊田通商との業務提携により日本でもサービスを展開することが決まった、ドローンを用いて新たな物流サービスを展開するZipline社をご存知でしょうか?(こちら参考の記事となります)
このZipline社はアメリカ発の企業でありながら初期段階ではアフリカのルワンダをメインにビジネスを行なっていました。現在ではアメリカでも事業展開しているものの、初期段階でルワンダで事業を展開していた理由はいったいどこにあるのでしょうか?
それは同社が扱うドローンに関する規制がアメリカが厳しく、ルワンダの方が比較的緩く、実証実験の場として適していたことにあります。そのため空輸での配送は先進国ですら、まだまだ導入期にあるにもかかわらず、アフリカという地に持ち込まれたのです。
このように法律や規制のビジネス環境という理由から最先端の技術が導入され、先進国でもあまりみられない技術が、カエル跳びをし、途上国に持ち込まれ普及した例もあります。
現地に合わせたカスタマイズが必要!?
さてここまでリープフロッグ現象を説明する中で、
「なるほど、最先端技術を途上国で売り込めばいいのか!」
と思われた方は、先に説明した2つめの説明を思い出してみてください。
脆弱な社会インフラの中、最先端技術の方が低コストで生活の質を向上させられるという前提があった上でのリープフロッグ現象が起きます。何事も現地の環境にあったビジネスが一番求められています。
2020年、アフリカのスマートフォン市場でシェア1位を獲得したTecnoは、まさに現地に合わせたマーケティングで成功した事例です。Tecnoは最先端の「スマートフォン」をアフリカで販売する際、iPhoneのようにハイスペックな製品にせず、アフリカの購買層が購入できる値段で、求められる機能(充電長持ち等)に限定することで市場にあったスマートフォンを展開しました。
AppleがそのままのiPhoneをアフリカでも展開し、シェアが1%と低迷している現状を考えても、市場に合わせたカスタマイズは必要だと感じられます。
世界の最先端であるスマートフォンを普及させることで、 今まで遠方の人と話す手段すら持っていなかった人々が、インターネットへアクセスできるようになり、通信だけでなく、金融、医療、教育など様々なサービスへのアクセスが可能になり、生活が一変しました。
そんな変化を目にすると、アフリカビジネスで「リープフロッグ現象」をよく耳にするのも頷けます。
いつも最先端を持ち込めばいいというわけではない点には注意が必要ですが、その障壁となる脆弱な社会インフラを整備できる手段は、ビジネスチャンスになるかもしれません。
今回の記事で紹介したリープフロッグ現象、1つとっても様々な要因やプロセスがあり、多角的にアフリカビジネスを捉え、現地に合わせたビジネスの重要性にも改めて気付かされました。
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《参照》
2021年5月21日閲覧
「TECNO Beats Samsung to Claim Africa Smartphone Top Spot in 2020」
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