【日本企業進出事例|ナイジェリア】1960年代からアフリカ進出、ヤマハ発動機

2020.01.08
ANZA編集部
【日本企業進出事例|ナイジェリア】1960年代からアフリカ進出、ヤマハ発動機

ANZAは日本企業のアフリカ進出を支援しております。

今回は、アフリカに早くから進出している日系企業、ヤマハ発動機株式会社のアフリカ事業に関して紹介します。

ヤマハ発動機株式会社について


1955年に静岡県で創業した同社は、主にオートバイを中心とした輸送用機器メーカーです。

2017年における同社の二輪の売上高は世界3位、船外機やウォータービークルは世界首位の実績を納めており、二輪車事業で得た技術をもとに、マリン事業や特機事業など事業の多角化を図っています。

国内子会社20社、海外子会社93社を保有する同社は、売上高の約9割を海外事業が占めるグローバル企業です。地域別の割合では、アジアが最も多く4割強を占め、アフリカや中南米を含むその他地域は1割強とまだまだ伸びしろがあります。

アフリカでの事業/動向


1960年代にアフリカに進出した同社は、BOPビジネスの展開に力を入れています。ブランド認知を向上させて将来の二輪車・船外機ビジネスにつなげる狙いがあるからです。

同社は現在、主に①クリーンウォーター装置による水浄化ビジネス、②点滴灌漑システムによる農業支援活動、③漁業関連製品の販売と教育による支援活動の3種類のBOPビジネスを展開しています。以下で3種類のBOPビジネスについて詳しく見ていきます。

クリーンウォーター装置で生活環境改善


BOPビジネス1つ目は、「クリーンウォーター装置による水浄化ビジネス」です。

2010年に、インドネシア向けに販売開始した後、世界に計13カ国36基を設置しています。アフリカにおいては、モーリタニア、コンゴ、ザンビア、コートジボワールなど8カ国21基があります。

同社のクリーンウォーター装置の導入により下痢や発熱などの症状が1割程度へ激減したという効果が発表されています。住民によるメンテナンスで簡単に維持することができるという点も同製品の強みです。

装置を活用したビジネスも生まれており、例えば、ろ過水をポリタンク一杯5円~10円ほどで販売する運営費補填型事業モデルがあります。初期に装置を導入したインドネシアでは、近隣の商業施設などへ水を販売するビジネスが生まれているそうです。

現地農家の水やり作業をより簡単に


BOPビジネス2つ目は、「点滴灌漑システムによる農業支援活動」です。ポンプ式点滴灌漑システム導入で現地農家の水やり作業を大幅に軽減し、貢献しています。

セネガルでは地元NGO、政府、他メーカーと協力し、共同プロジェクトを実施。リースを含めたソリューションとして、パッケージ販売して競合廉価製品と差別化を図っています。

本取り組みにより、これまで使用していた水量を4割削減し、農作物の収穫量が5割増えたそうです。また、水やりが農作業の9割を占めていたため、システム導入後はその分の時間で他の作業を行ったり、手伝いをしていた子供は学校へ行くことが可能になりました。

クリーンウォーター装置の導入により下痢や発熱などの症状が1割程度へ激減したという効果が発表されています。また、住民による簡単なメンテナンスで簡単に維持することができます。

装置を活用したビジネスも生まれています。例えば、ろ過水をポリタンク一杯5円~10円ほどで販売する運営費補填型事業モデルがあります。初期に装置を導入したインドネシアでは、近隣の商業施設などへ水を販売するビジネスが生まれているそうです。

漁業支援活動で生産性向上


BOPビジネス3つ目は、「漁業関連製品の販売と教育による支援活動」です。

これには大きく3つの活動があります。

1つ目が、船外機の導入です。従来の手漕ぎボートから動力ボートになったことで、漁に出る回数や漁場が増え漁獲量増加につながりました。2つ目が、船体強化です。従来の木製から繊維強化プラスチックになったことで、耐久性の向上による修理費の節約や森林伐採の削減に貢献し、さらには保冷設備完備で魚の高品質維持につながりました。3つ目が、教育サービスです。こちらは、1995年まで「フィッシャリージャーナル」を発行し、船のメンテナンスの指導、メカニックの教育、魚の採り方や保存方法も指導について発信しました。

以上が同社が実施するBOPビジネスです。また、これらの事業と並走して、同社は二輪車事業にも注力しています。

二輪車事業においては、既存の強力なパンアフリカの販売網に加えて、近年、ナイジェリアで生産拠点を設置したり、スタートアップに投資したりと新たな動きを見せています。

ナイジェリアでも生産を開始


アフリカ進出当初は、BtoGモデル(警察官用バイクの一括提供など)で事業を立上げましたが、現在は各国中間層以上をターゲットに、アフリカ52カ国に代理店網を構築して販売しています。従来は、製品はインドからの輸出で対応していましたが、2015年にナイジェリアでも生産を開始しました。

協業や投資を続々と発表


2019年6月、ナイジェリア発の二輪配車プラットフォーマーMax.ng(Metro Africa Express)が実施した3度目の資金調達に、ヤマハ発動機が参画しました。

同社は、2Cの二輪タクシーアプリ事業の他、2Bのデリバリー・技術提供も行っています。2015年の設立以降、これまでナイジェリアの首都ラゴスにて1000名以上のドライバーによって、100万回以上の配車を提供しており、JumiaやNestleなどを法人顧客に持っています。

また、東アフリカのウガンダでは、二輪車による荷物の配送サービスを手掛けるクーリエ・メイトとの協業が決定しました。ヤマハ発動機がITを使用した配送システムを築き運営の効率化を図ります。

その他にも、同年12月、東アフリカで最大の小売店網プラットフォーム構築を目指す東京大学発のスタートアップ企業WASSHA(ワッシャ)株式会社と共同で、同社のタンザニアにおける小売店網プラットフォームを活用した物流事業の実証実験を開始することを発表しました。

同社が2019年11月に完了したシリーズBラウンドの資金調達にもヤマハ発動機は参画しています。

現在、ヤマハ発動機のアフリカでの事業規模は年間100億円で、主要市場であるアメリカの4,000億円と比べるとまだまだ小規模です。しかし、同社の日高社長は「アフリカでの売り上げを10年で倍増し、将来的には欧米に匹敵するだろう」とアフリカ市場のこれからに期待を寄せています。  
 

アフリカ展開ポイントまとめ

1, BOPビジネスを通じたブランド認知の向上
2, 協業によるビジネスフィールドの拡大

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<企業情報>
■企業名:ヤマハ発動機株式会社
■上場/非上場:上場
■従業員数:連結 53,977名(2019年3月)
■売上:連結 約1兆6,647億円(2019年12月期)
■営業利益:連結 約1,153億円(2019年12月期)
■時価総額:約4,308億円(2020年4月2日現在)
■企業URL:https://global.yamaha-motor.com/jp/

《参照》
2020年4月2日閲覧
https://global.yamaha-motor.com/jp/
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47976490Q9A730C1L61000/
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54161470Y0A100C2L61000/?n_cid=SPTMG002

 

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